やーこばなし

露出狂に出会ったり、カツアゲにあったり、等速で動く点Pを逆恨みしたりする話などを書いてます。

2024年12月

正月の気配を感じている。今年はつい最近まで再びコロナにかかり、そのまま大晦日に雪崩れ込んだ次第である。まさか年の瀬に、2回目のコロナに罹るとは思わなんだ。高熱の最中に文章を捻くり出したが、不審な点はなかったであろうか。愛しの猫達は炬燵に篭り、私が立つ度に兄 ...
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修学旅行で私は初めてフェリーに乗った。甲板に出るとカモメが船と並走し、野球部の田中は私の横でカモメの顔真似に努めていた。青い空と広大な海に、突き進む船は風と波を生み出し、今此処にある全てが私の全身を覆っている。私が美しいものを沢山目に収めて帰ろうと決心し ...
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両親が出かけ、家で仕事をしながら一人留守番をしていると、摺り足で移動するような物音が聞こえた。心霊現象であろうか。私はバットを手にした。私は唸り声を上げた。「お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛!」最初が肝心である。どちらがボスか教えてやらねばならない。私は ...
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目出し帽を被り散歩をしていると、近所の女性に抱きつく不審者がいた。私は何とかせねばならぬと思ったが、久々の分かりやすいタイプの不審者に恥ずかしながら大変動揺してしまった。結果、背後から不審者にそっと抱きつく事となった。「……え」と、不審者の少し高い男の声 ...
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たまにはクリスマス気分を満喫しようと、実家の50cm程のプラスチック製の小型ツリーを出してみた。私が生まれる前からあったものであるが、箱から出すと先端が折れていたうえに、葉が大量に抜け落ち、枝部分が剥き出しとなっていた。しかもツリーの飾りも、毛の生えた針金の ...
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住宅地に爆音で音楽を流す車が停まったが、近くに住む耳が遠いジジイの演歌タイムと重なり、ジジイの家からも爆音で吉幾三が流れ始めた。時を同じくして常に窓を全開でピアノを弾く家も加わり、激しく「魔王」が弾き鳴らされた。隣家の元音楽教師の凄まじく歌の上手い認知症 ...
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ライブドアの公式ブロガーが集うという忘年会の参出席確認のメールが来た。食べ物が美味しそうであったので二つ返事で参加すると返事をした。しかし、目先の食べ物に釣られたが、よく考えれば知り合いが一人もいない事に気がついた。私の目的は食べ物オンリーとなった。ラフ ...
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よくインド人に間違えられる友人のオポポイと共に電車に乗っていると、女性が酒に酔ったオヤジに絡まれていた。迷惑そうであったのでオポポイと策を練り「まずは親しげに近寄り、私が女性の知人を装い声をかける。オヤジが逆上したら、オポポイは外国人に擬態し事態を撹乱し ...
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コンビニのアルバイトにて、勤務を終え田中とシフトを交代し、バックヤードで同期の木村に「忘年会についての連絡を田中と店長に返信したか」とLINEで訊ねると『田中は先ほど変死しました。念のため確認してもらえますか?』と、事件性の高い返事が来た。バイト上がりに田中 ...
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水面に揺れる夕陽を持ち帰ろうと、スマホのシャッターを押したところ、黄昏の空の下に頭に鳩を乗せ佇む異色を放つオヤジが映り込んでいた。幻かと思い肉眼で確認したところ、オヤジと鳩と目が合った。なにゆえ鳩と共に直立不動を貫いているのかは不明であるが、勝手に撮って ...
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「世の中には仕方がない事もあります。しかし、それが許容できるかと言えば、それはまた別の話です」そう言うと、友人は髭を撫でながら私を見つめ、次に目の前のコーヒーカップへと視線を移した。「手頃なコップがないからといって、コーヒーカップにコーラを入れるのはやめ ...
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