帰宅した際に、出迎えに来た猫達の視線を独り占めすべく右右左左と腰を左右に振る事をルーティンとしていたが、疲れ過ぎてバイト先の児童館に入館した際に出てしまった。

しかも、職員に目撃された。
私のプライベートな部分が生晒しとなってしまった。
私は精神的に打撃を喰らったが、それはうっかり私のルーティンが露呈した為ではないく、真顔で腰を左右に振る私に対し
「あ、やーこさん。おはよう」
と、普通に挨拶が交わされ、これが私の通常運転であると認識されている可能性が浮上した事である。
会議で上司による私へのパワハラ中に「尻の音を鳴らす」などと脅迫めいた発言をした前科がある為、わりと身に覚えがある事も一層私の不安を掻き立てた。



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このままではいけないと思い、その日は普段以上に気を引き締め業務に努めた。
細心の注意を払い30分が経過した頃、先程の職員とパートがどこか不安げにこちらを見つめてくるようになった。

少し席を離れ、戻ろうとした時に
「一体どうしたのかしら」
「確かに様子が変ですね」
と、パートと職員が囁く声が聞こえた。
朝の腰振りルーティンを見た時に投げかけて欲しかった言葉達が今放たれている。
しかし、現実とは時に無慈悲であり
「朝は普通でした」
という職員から言葉が放たれ、容赦なく私を貫いた。
やはり、あれが通常運転だと思われている。
静かに席に戻ると
「具合が悪いんですか?」
と、職員が心配し訊ねてきた。
丁度今しがた具合が悪くなったところである。
「虫の息です」と答えたいところであった。

その後、学校を終えた子供達が来館し始めた。
子供達にせがまれ、洗濯機の中の干し忘れたタオルなどに擬態していると、それを見た先程の職員が深く頷き
「大丈夫そうですね」
と、呟き去っていった。

全く大丈夫ではない。
今後どのように勤務態度を改めるか非常に頭を悩ませている。


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