友人の結婚祝いに皆のダンスする様を繋ぎ合わせたムービーを流す事となり、各自撮って送ってくれと頼まれた。

早速自分の踊りを撮影し、確認したところ、カメラに向かい激しく両手を上下させ威嚇するチンパンジーと、その背後で猫達が一塊りとなって静かに争っている訳のわからぬ映像が再生された。

とりあえず編集する者へ動画を送った。
別の友人が虫の知らせを感知したのか、私の動画を観たいと連絡をよこしたので見せた。　
その際、荒ぶるチンパンジーと猫に加え、更に画面の端にひょっとこの顔から直接タコの足が生えているという不気味な物まで写っている事が発覚した。


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ひょっとこの参入により、私の動画は奇々怪々を深めた。
友人は「子供の頃に見る悪夢の一角のようだ」という感想を述べ、特に役立つアドバイスを残す事もなく去っていった。

しかし、ひょっとこは縁起物である為、ぎりぎり許されるのではないかという一筋の希望が見出された。
問題があれば撮り直せと連絡がくるであろうとそのまま放置していたところ、わりとすぐに編集の者から電話が掛かってきた。

しかし
「あの動画の外国人は何なんだ」
と、いう電話であった。
「あの狂ったチンパンジーとひょっとこの化け物は何だ」ならば分かるが、外国人は送った覚えはない。
不思議に思い、添付した動画を再度見返してみたところ、中東の顔立ちの男が窓辺で無心にポテトチップスを喰んでいる情景が流れた。
友人のオポポイであった。
風が吹き、手から離れた芋をキャッチし、不適な笑みをカメラに向けたところで動画は終わった。

数年前に
「カルビーは俺をCMに起用すべき」
と、オポポイがカルビーではなく私に送りつけてきた動画であった。
添付する動画を間違えてしまった。
危うく結婚する友人とは縁もゆかりもないオポポイの芋捕食シーンが上映される所であった。

その後、本来の動画を送ったが
「動画としてはポテトチップスの動画よりもコンセプトが分からない」
と、言われた。

VTRは、流石に私の動画を入れないのは申し訳ないと思ったのか、一瞬だけ私の映像が映った後、すぐさま他の者に切り替わる仕様となり、何らかのサブリミナル効果のようになっていた。

いっそ全て切り取った方が良かったのでは？と、今でも思っている。



【追記】

VTRはご満足頂けたらしく、小学生になった友人の息子が何回か一瞬映る私の動画部分を一時停止する事に勤しんでいる。

ポテトチップスを喰む男、オポポイは近年のインド映画ブームにより、それに近い濃い顔立ちの自分もモテるかもしれぬと胸を高鳴らせたが、予想に反して全くモテぬと嘆いている日本生まれ日本育ちである。

それどころか、映画の影響により「踊れ」と無茶振りまでされるという。
因みに彼のダンス能力は威嚇するチンパンジーと化す私と匹敵する。



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