アイスにチョコとチョコペンで装飾し、リスを模ったアイスを作ることにしたが、私の画力が足りぬ為に、冷凍庫に大量の小さいおっさんの生首が並ぶ事となった。
友人のヨシコが引っ越すの為、我が家でお別れ会を開く事になりデザートを作ったが、大層不気味な感じになってしまった。
耳を横に付けすぎた事と、目が死んでいる事が原因であると思われたが、共に準備した友人曰くリスの額の模様の3本線が、何故か横に入りバーコードのようになっている事がより拍車をかけていると考察していた。
とりあえず耳は丸いチョコレートであった為頭上高くに移動させたが、カチューシャをつけたディズニーランド帰りのオヤジになっただけであった。
ただのオヤジから少々陽気なオヤジにはなった。
しかし、悪化の一途を辿っている。
最後の足掻きにチョコペンでリスの口元を強調したが、カールおじさんのヒゲと化し、いよいよ手の施しようがなくなった。
蛇足とはこの事である。
いっそのことオヤジアイスとして出そうではないかと打診したが
「ヨシコの好きなものをアイスにした」
と、予め本人に告知されていた為に退路は閉ざされた。
それどころか友人の好きなものが「オヤジ」になってしまうという新たな危機までもが追加される事となった。
しかし、今更10人分のオヤジをリスに人体錬成する事は不可能である。
我々は強い心を持ち、「好きなものをアイスにした」と申した事をヨシコの幻聴とし、事実を捻じ曲げる作戦へと移行した。
しかし、お調子者のタケシが司会をやり始めた事でその作戦も虚しく散った。
感動的な皆との思い出のアルバムが贈呈されたのち、涙ぐむのを誤魔化すようにタケシが進行を進め始めた。
「引っ越すヨシコさんの為に、ヨシコさんの大好きなペットをアイスで作ったそうです」
と、余計な事を演説し始めた。
タケシのせいでヨシコがオヤジを飼っている狂乱者となる緊急事態である。
アイスを出すと皆の涙が引っ込んだ。
友人は
「序盤はリスであったが、徐々に中年化が進んでいった」
と、弁解した。
何をどうしたらリスが中年オヤジになるのだという雰囲気が漂った。
先程とは違う意味での涙が、奇声と共に発せられた。
【追記】
しかも、若干溶け始め、オヤジの目が微笑みを帯び始めた。
正直恐怖すら感じる表情であった。
ヨシコのオヤジアイスに至っては口の先から口内炎でも嚙み潰したかのようにチョコが垂れている。
オヤジの微笑みアイスで送り出すのは申し訳なかったが、最後に呼吸困難に陥るヨシコを見て
「そうだ。私達は、いつもこんなふうに笑っていた」
と、非常に感慨深い気持ちになった。
休み時間、放課後、私たちの中にはいつも全力で笑うヨシコがいた。
最後の日、ヨシコから受け取ったメッセージカードの文末には
「オヤジアイス、最高」
と、書かれていた。
私は
(…………リス……。)
と、心の中で呟きながら、その手紙をそっと閉じた。
【参考図と、それに基づく再現図】
コメント
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yalalalalalala
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yalalalalalala
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なるのか…?
yalalalalalala
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