本の予約をする為、意気込んで鼻息荒くレジの男性店員に声をかけたが、タイトルが
「尻でカスタネットを奏でたら視線が刺さり 震えたが今日も猫は愛おしい」であった為に
「尻でカス……」
と、一番よろしくないところで噛んでしまった。

鼻息の荒い客から出てはならぬ単語が出た。
店員の接客用の笑顔の仮面が剥がれ落ちる瞬間を目の当たりにした。

気を取り直し、勢いで一気に言った方が良いと再び挑んだ結果
「尻でゲスッ!!」
と、元気に尻を主張する勢いのある不審者と化した。

更に悪化の一途を辿った。
その日、私は予約をせずに帰った。


翌日、リベンジ来店したところ同じ店員がレジに立っていた。
覚えていないだろうと思ったら、目があった瞬間
「!?」
と、いった顔をした。
明らかに覚えている。

前日のリハーサルもあってかスムーズにタイトルを伝える事ができた。
しかし、店員からは
「もう一度、お願いします」
と、言われた。
早口すぎたのだ。

分かりやすいようスマホで表紙の画像を見せようとしたが、先程まで見ていた仕事の画像が表示された後に充電が切れ、画面は静かに闇に飲まれていった。

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すぐに充電が切れたのは幸いであった。

連日に渡り「尻……」などと宣う不審者に、「不審者注意」と不気味な絵を見せられた店員の気持ちは計り知れない。


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ゆっくり噛まずに告げる為、私は戦場カメラマンの渡部陽一を意識した。
「尻で カスタネットを 奏でたら 視線が刺さり 震えたが 今日も 猫は愛おしい」
戦場カメラマンに言わせて良い内容ではなかった。

戦場で尻でカスタネットを奏でようものなら、狙撃してくれと言わんばかりの愚行である。
店員のキーボードを打つ手が止まった。

書店員の方は大体慣れているので、どんなタイトルでも問題はない。
鼻息荒く変なところで噛まなければ大丈夫である。
もしくは、スマホの充電が十分な状態で本の画像を見せれば大丈夫である。

しかし、私のように滑舌に自信のないものはAmazonなどをオススメする。
そして、表紙も猫で大変可愛らしいので、安心してほしい。
問題は私の滑舌だけである。


【追記】
不審者防犯ポスターの制作にあたり、上からの指示は
◯不審者は男女どちらとも受け取れる見た目
◯優しい人に見えてもついていってはいけない。
という、二つの要素は必ず入れてほしいとの事であった。

児童館の子供に見せたところ
「コイツにはついていかねぇよ」
と、言われた。
そして、私のポスターはボツとなった。
今、新たに描き直している。

本については、
このタイトルのおかげで筆が進んだと言っても過言ではない。
タイトル通りの猫の本である。
私はネーミングセンスが激しく乏しいので、毎度担当の者にお世話になっている。
こんなにもピッタリなタイトルがよく浮かぶと毎回思っている。


【そして、その本です】

「尻でカスタネットを奏でたら視線が刺さり震えたが今日も猫は愛おしい」

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