むめいさんコラボ
【退部するために入った部活】

中学生の頃、部活をやりたくなさすぎて3ヶ月で辞める為に陸上部に入った。
入部して数週間、そろそろサボろうと思っていたところ突然顧問に「もう走らんでええ」と呼び出された。

ーー天に願いが届いたのだろうか。
しかし、連れられた先には貫禄のエグイ女の先輩が佇んでいた。
しかも手に凶器(砲丸)を持っている。

ーー地獄の方に届いたかもしれない。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
凄まじい迫力で叫び砲丸をぶん投げている。

荒ぶる極悪ゴリラくらいならば砲丸と素手でいけそうな気迫であった。
私の脳裏でゴリラが砲丸を喰らい、ジャングルに平和が戻った瞬間、顧問の口から
「今日から砲丸投げを、この先輩と二人でやってもらう」
と、死刑宣告がくだされた。      

犠牲になったのはゴリラではなく私である事が判明した。
ゴリラの命と引き換えに、私の学生生活が打ち砕かれんとしている。
あんなに面倒であったダッシュ練習を今ならば喜んで勤しめる思いであった。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
地面に降り注ぐ砲丸に現実が直視できない。
こんな恐ろしい人と部活なんて無理である。

顧問は私を置き去りにし、去っていった。
いよいよ、喰われるかもしれない。
沈黙の中、先輩がぽつりと
「始めようか……」
と、呟いた。
殺し合いでも始まるのだろうか。
脳内で人生終了の鐘が鳴る音がした。

その時、先輩のズボンがずり落ちパンツが背中から露出してる事に気がついた。    
  
意を決して先輩のズボンを引き上げ、日の目を浴びるパンツをねじ伏せると、先輩は笑顔を見せた。

パンツによって我々の絆が結ばれた。
先輩は見た目に反して優しい先輩であり、気がつけばサボりながら五ヶ月が過ぎていた。
大会があり、これを終えたら退部する旨を伝えると
「またやる気が出たら、いつでも部活に来てね!」
と先輩は雄叫びをあげた。
少し寂しそうであった。
5ヶ月もお世話になったのだから最後くらいは真面目にやろうと、心に決め大会の地に立った。

さようなら砲丸投げ
さようなら陸上部
  
私は砲丸を投げた。          



砲丸は飛んだ。    

彼方まで飛んだ……。

大会新記録が出た…………。

エグい先輩が喜んでいる。
顧問も寄ってきた。

部活は更に一年くらい辞められなかった。



【追記】
コラボにて描かせて頂いたが、漫画を見ては笑ってしまってダメであった。
冷静になるのに大変時間を要した。

高熱時にみる夢を具現化したようなタッチで描かれる、むめいさんにしか出せぬ世界である。
漫画も全3巻揃え、事ある毎に読み返しては一人笑うを繰り返し、家族の中での私の不気味指数が上昇した。

何度読んでも耐性がつかぬ故、もしウィルスであったら絶望的であった。
漫画であって幸いである。

是非とも、まだ読んでいない方がいらっしゃれば読んで頂きたい。

むめいさん(@mumei10101 )


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〜栖さんファンアート〜IMG_1239