墓地にて、墓の場所を失念し家族にLINEで訊ねると「田中家の墓の隣」と返ってきたが、既に私は大量の田中家の墓石に包囲されていた
どの田中であろうか。
再び手掛かりを求めると「一番高そうな田中」というアバウトな返事が来た。
突如墓場で高級な田中探しが始まった。
選りすぐりの田中家を見つけ、目的の佐藤家の墓に辿り着いた。
手を合わせ拝み振り返ると、見知らぬ家族が立っていた｡
拝んでいたのは違う佐藤家の墓であった。
刑事ドラマで、刑事が墓参りに行くと事件のキーパーソンが先に拝んでいたみたいな立ち位置に立ってしまった。
「お隣のお墓にも、ご挨拶をと思いまして」
と、高そうな田中家の墓の者に成りすまし、軽く拝んでから逃げるように去った。
とばっちりで拝まれた田中家には申し訳のない事をしたと思っている。
【追記】
よく考えたら結局見ず知らずの佐藤家と田中家の墓しか拝んでいない日となった。
しかも、生前に
「オレの墓前で宝くじが当たるよう願ってくれ。オレの霊力で当たったら美味い酒を添えてくれ」
と、酒の銘柄まで指定され頼まれていたので声に出して
「宝くじがあたりますように」
などと拝んでいた。
知らぬ者が自分の家の墓に宝くじについて熱心に拝んでいる姿を目撃したあのご家族は何を思っただろうか。
近いうち宝くじを買ってみようと思う。
しかし、全く当たる気はしない。
【書籍】
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コメント
コメント一覧 (4)
ところで鈴木さんが見当たりませんがいずこ？
yalalalalalala
が
しました
無事ご先祖の墓参りをしたあとに
宝くじを買ってみませう✧
yalalalalalala
が
しました
楽しみです
yalalalalalala
が
しました