ライブドアの公式ブロガーが集うという忘年会の参出席確認のメールが来た。

食べ物が美味しそうであったので二つ返事で参加すると返事をした。

しかし、目先の食べ物に釣られたが、よく考えれば知り合いが一人もいない事に気がついた。私の目的は食べ物オンリーとなった。

ラフな格好で良いというが、私はこういう場での「ラフな格好良い」という文言に信用を置いていない。
周りはジャケットなどで決め、Tシャツにハーフパンツという一人風呂上がりのオヤジのような仕上がりの者が紛れ込むという事故を起こすという罠に過去何度も陥っている。
今回は先手を打ち、中華服の包で挑んだ。
意気揚々と現場へ着き荷物を預けようとしたが、貴重品は預かれぬという。
周りを見ると、皆は移動のバッグの他に、小さなバックを持っていた。


人生経験の差が早くも生じた。
バッグなどない。コンビニ袋ならばある。
結果として両ポケットが許す限り突っ込んが、明らかに身体の両側面に不自然な膨らみを持つ者となった。

空港であったら明らかに取り調べにあっている。
ライブドア側から交換用の自分のブログ名の書かれた名刺数枚と、首から下げるタイプの名札が配られたので、そこに入りきらなかった駅で渡されたキャバクラのティッシュなどを仕込んだ。

先に配られた名刺は、恐らくはこの場の者達と交換する用である。
しかし、私は一方的に相手を知っているが、相手は私を知らぬという完全アウェイな空間であった。
しかも、既に横の繋がりが出来ている。
その時、ウィンナーを焼く良い香りがした。


パルシステムがウィンナーを焼いている。
ウィンナーをガン見し彷徨いていると、ブースの者が
「よ……よかったら……」
と、ウィンナーをくれた。
パルシステムが私のこの場での初の名刺交換相手となり、パルシステムも私が初のウィンナーを食わせた来客となった。

食料はビュッフェ形式であった。
私は完全に他者との交流を諦め、スマホのメモを開き、どの順番で食べていくかの計画を練っていた。
すると
「お話ししませんか?」
と、声がかかった。
幻聴かと思い視線をそちらに向けた。

美 女 が い た 。

美女が私に語りかけている!

私は秒でメモを閉じた。
後に確認するとメモには

「右から 肉 酒 ブッコロリー はか」

と、書かれていた。
後半が物騒であった。
閉じて正解であった。

この美女は人気者であるが、一人真顔でスマホに向かい食べる順を決めている私にまで気にかけてくれ、声を掛けてくれたのである。

お美しいうえに気さくとは、天が二物を与えている。
本来ならば尻でカスタネットを奏でる私のような人間とは人生が交差しない存在であろう。
有難うライブドア忘年会。

その後、ビンゴ大会が始まった。
何種類かの商品を引き当てる度に、当てた者が一言申すと言うシステムであった。


後半、当たる者が増えるので、次の抽選まで時間がかかるようになった。
ふと、背後をみると先程には無かったデザートが追加されていた。

意識がデザートに持っていかれる。
「めっちゃデザート見てる……」
美女にも気づかれている。
パルシステム賞を受賞すると、着ぐるみの例の牛が商品を持ってきてくれるのだが、歩みが牛歩である。
今がチャンスである。
私はデザートへと足早に向かった。

すると、私と同じ考えの者二人と鉢合わせた。非常に親近感を覚えた。
しかも、親切にコーヒーまで淹れてくれた。
しかし、やはり揃って美女なので私はケーキを食うしかできなかった。


私も幸運にもビンゴを引き当てたので、一言申す事となった。
しかし、自分のブログ名を忘れ、そのうえ
「今日は食べる為だけに来た」
という何の捻りもない発言となった。

その後は私も交流とやらをしてみようと、美女やら好きな作家やらを背後からストーキングし、声を掛け
「いつも読んでます。これからも読みます。
……では!」
と、いう迷惑なエアドロップのような行為を繰り返した。

恐らく「誰なんだアイツは」といった印象しか持たれていない。
それどころか、何の印象すらも持たれていない可能性の方が高い。
しかしながら、噛まぬように会話するには3語くらいが私の限度である。


そんなエアドロップにも優しく会話を広げてくれようとした方もいらっしゃり、私は彼や彼女らをこれからも推す事を心から誓った。
ほぼ交流せず飯だけ食っていたが、美女の紹介でこの会におわす唯一の文章主体のブロガーと対面を果たした。

美女が美女を呼んだが親近感が勝り、会話が成立した。
彼女はくまモンと握手をし、「凄く人間を感じる……」と毛皮の下に想いを馳せる女性である。
我々は同志となった。
「また此処で逢おうぞ」
我々は猛々しく誓い合った。

その後、特に変なオヤジに絡まれる事もなく家に着くと、ライブドア忘年会のLINEに通知がある事に気がついた。
開くとビンゴ当選者の一言の記録が一人も余す事なく送信されていた。


私の
「今日は食べる為だけに来ました」
という発言も記録に残されていた。
何の嫌がらせであろうか。

しかし、楽しい会であった。
飯も美味かった。
美女と同志と運営の方々には感謝しても仕切れぬ。
パルシステムのウィンナーはおすすめである。

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【追記】
一応、名乗らねばならぬと思い、毎回
「やーこです」
と、首からぶら下げた自身の名札を指差していたが、色々入れていた為にひっくり返り、キャバクラのティッシュを見せびらかし自己紹介していた事に気がついた。

いつから裏返っていたのだろうか。
僅かにあった「記憶力の良いブロガーが、もしかしたら私の名を覚えてくれるかもしれぬ」という一筋の希望の光が、私の名どころか「キャバクラのティッシュ」として記憶されている可能性へと変わった。

あのような会には小さいカバンは必須である。
皆様は同じ事にならぬよう、是非私の屍を超えていって頂きたい。

あと、知り合いがいなくても飯が美味ければ、食って飲んでしているだけでも楽園であるので、何とかなるとお伝えしておく。

皆様を肉眼で確認出来ました事、そしてこの食事が美味しい会に参加させて頂けた事、至福の至りである。

願わくば、来年また参加出来る事を。


                 やーこ

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○二冊目
【電車で不思議なことによく遭遇して、みんな小刻みに震えました】

電車で不思議なことによく遭遇して、みんな小刻みに震えました
電車で不思議なことによく遭遇して、みんな小刻みに震えました
やーこ
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2024-04-24

○一冊目
猫の診察で思いがけないすれ違いの末、みんな小刻みに震えました】




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