薄手の布団を干すことにした。

初夏の風が気持ち良く、私はその風に乗じて布団に付着した愛猫の天然ファーを世に放った。

ついでにと思い父の汗を長年吸い続けている毛布も干してやった。
両手で持ち風に泳がせてたところ、手元を離れ飛んでいった。
そして、父の汗染み毛布が近所の変質者を優しく包み込んだ。

散歩中の犬が回転しながら吠え、飼い主も「うわぁうわぁ」と咆哮し、混乱した変質者は毛布オバケと化し走り出した。

外に出ると毛布お化けの外皮だけが残されていた。
先の犬が噛み、ぶん回していた。

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※栖周 氏 妖怪絵巻

【追記】
飼い主に
「すみません、すみません」
と、謝罪された。
こちらも噛まれているのは父の汗染み毛布なので
「すみません、すみません」
と、謝った。

あんまりにも犬が気に入っているので差し上げようかとも思ったが、飼い主の精神衛生を考慮し辞めた。

もうコインランドリーで洗おうと、毛布を片手に歩いていると、先の毛布お化けの中身が現れた。
「お前があぁ!お前がぁぁ!」
と、何やら叫んでいたが、私はシラを切り通した。

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しかし、父の毛布がご迷惑をかけた事に変わりはないので、コインランドリーの待ち時間にコンビニへ行き、購入したかりんとうを渡した。

不審者の顔に瞬く間に笑顔が戻った。


【書籍】
アラジンの魔法の絨毯は、きっと私のようなうっかり者が手放した布団から着想を得たに違いない。
魔法の汗染み毛布という悲鳴の上がりそうな呪物を爆誕させた私であるが、本も誕生させている。

◯最新作 変な猫エッセイ
「尻でカスタネットを奏でたら視線が刺さり震えたが今日も猫は愛おしい」
【↑Amazon限定特典本】 •初回版の場合はしおり ※書店に置かれている本でも、初回版ならば付いてきます!!


◯一冊目 変なエッセイ
【猫の診察で思いがけないすれ違いの末、みんな小刻みに震えました】

猫の病院で起きたすれ違い、
カツアゲにあった話など、日常の不審者詰め合わせ。
愛猫の話もあり。

◯二冊目 変人達のレクイエム
【電車で不思議なことによく遭遇して、みんな小刻みに震えました】

変質者と変質者のマリアージュ
勿論電車の中での話以外もあります。
愛猫の話もあり。

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