駐車場で私は電話でバイトの先輩に怒られていた。

後から現れた見知らぬヤンキーが、停めていたバイクにまたがりスマホを弄り始めたところ、私の尻が空気の循環を開始した。
「ブロロロロロロロロッ」とエンジン音にも似たそれが放たれた。

ヤンキーが「!?」と、こちらに顔を上げた。
しかし所詮他人であるので私は通話を続けた。
ところが、スマホが尻の音を拾ったらしく
「何の音ですか?」
と先輩の意識が音源の尻に向けられ、これ以上火に油を注がぬよう誤魔化した。

「隣のバイクのエンジン音です」
ヤンキーは「!!」と、再び顔を上げた。

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【追記】
不要な怒りを買うことを避けるには、これしか方法がなかった。

通話後
「恐れ入ります」
とヤンキーに伝え、私はその場から走り去った。
今だけはヤンキーのバイクに負けぬエンジンが私の尻に搭載されていてほしい。

しかし、丁寧に接したつもりであったが、放屁をした挙句、その責任をなすり付け「恐れ入ります」などと申して走り去っていく迷惑な妖怪のようになってしまった。
「豆腐小僧」よりかは、有害な分類に属する。

愛車の音と誤魔化して申し訳なかったと思っている。

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【書籍】
ブロロロロロロロッ
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「尻でカスタネットを奏でたら視線が刺さり震えたが今日も猫は愛おしい」
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◯一冊目 変なエッセイ
【猫の診察で思いがけないすれ違いの末、みんな小刻みに震えました】

猫の病院で起きたすれ違い、
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変質者と変質者のマリアージュ
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