やーこばなし

露出狂に出会ったり、カツアゲにあったり、等速で動く点Pを逆恨みしたりする話などを書いてます。

タグ:猫

猫は閃いた。必ずや、かの先住猫の毛繕いをしようと。しかし、猫は毛繕いが下手であった。毛繕いを施そうとした舌が先住猫の目に当たり、目潰しがなされた。奇しくも敬愛の念が戦いの火種を発芽させた。猫は危機を察知する能力は高かった。その判断力が功を成し、先住猫の左 ...
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紅葉が木々を彩る昼下がり。あまりに暇であったので、尻にカスタネットを挟み打ち鳴らしていたところ、振り向くと豪奢なクッションの上に横たわる猫と目が合った。明らかに心を痛めている。音楽の秋といえど、奏者が尻であった事が良くなかったのだろうか。誰もいないと思い ...
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近所のジジイが健康診断に行くことに抵抗し、逃走を果たした。老婆から手を貸すように頼まれたれ、ジジイのアル中仲間達と共に捜索が開始された。いつもの公園で酒でも飲んでいるのではないかと足を運ぶと、まんまと酒を飲んでいた。「なんだ、オレはまだ何もしてねぇぞ」何 ...
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部屋が冷えてきたのでスウェットを着ようと首まで通したが、膝上に鎮座する猫が「猫も人間の衣を着る事は やぶさかではないと頑なに退かぬので、猫ごと着た。ふと、以前SNSで見かけた 服の首元から顔を覗かせる猫画像が思い出され、これを機に私もそのような愛らしい写真を撮 ...
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いつも使っている猫用のトイレ砂が無くなり、買いに出かける事になった。準備をしている最中、ふと「にゃあ」と呼ばれ視線を上げた。猫が現れた。人間は「出かける旨」を唱えた。猫はヘソを曲げている。猫に人間へのヘイトが溜まった。「にゃあ」と返事をする事も拒否し、猫 ...
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窓を開けると隣家から爆音で「恋するフォーチュンクッキー」が聴こえてきた。音楽は癒しをもたらすと科学的に証明されているので、丁度良いと思い隣家に便乗し歌い踊っていたところ、通りかかった母に高熱時の悪夢の体現と糾弾を受けた。ふと、視線を感じ振り返ると猫と目が ...
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猫がひっくり返り、寝息を立てていた。あまりにも穏やかな寝顔であったので、私はその姿を画像に納めようとスマホを構えた。カメラを向けた瞬間、白目を剥いた。何の嫌がらせだろうか。『グラップラー刃牙』でしか見ない表情をしている。しかし、迫力があって大変良いので丁 ...
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休日であるが珍しく予定が入った。猫達は朝7時という真っ当な時間帯に私が起きている事にザワついていた。布団の陰から凄く見られている。見るなら普通に見てほしい。 私の健康的な生活を猫が訝しんでいる。ゆっくり沈んでいった。そんなにも私が朝起きている事が信じられな ...
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我が家には猫が2匹いる。連休中、ベッドにもたれ掛かり部屋で本を読んでいると、猫達が背後で湧き立ち始めた。何事かと思い、私は振り向いた。いつもより胴が短縮された猫が、片手を伸ばす先住猫に挑んでいる。猫パンチの乱戦の予感がする。猫界のスパーリングを見守ろうと、 ...
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猫に魚型のオモチャをあげた。とても気に入り、しばらく寝転びながら戯れていたが、投薬の時間がきたので声をかけた。猫は静かに目を閉じた。寝たふりである。目の前で数秒前まで遊んでいたというのに。軽く揺さぶっても目を開けない。猫缶を開けた。こんなにも瞬時に目がか ...
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猫に錠剤を飲んでもらう事になった。医師の指導のもと、猫が苦味を感じないよう薬をオブラートに包み、喉に張り付かぬよう水、薬、水の順で口内に流し込んだ。しかし、飲ませ終わったからと油断し、目を離してはならない事をこの時私は知った。こちらは口内に薬物を所持した ...
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先住猫は面倒見が良く、後から家族に加わった猫ともよく遊んでくれている。後から加わった猫はよく甘えたがるので、私は日常的に猫同士が寄り添う微笑ましい光景をよく目にしていた。この日も後から加わった猫は、先住猫に毛繕いをしてもらおうと甘えた。あまりに可愛いので ...
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夜、エリザベスカラーの着こなしによって耳が見当たらない猫が現れた。明日は朝が早いので素早く就寝したいが、以前猫は耳が蒸れて外耳炎を患った事があるので、耳の配置を正そうと思い猫に話しかけた。戦闘に入った。布団に入る前に、迂闊に話しかけた事で猫の「甘えたい欲 ...
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猫はどうしても病院へ行きたくなかった。開け放たれた窓から外を眺める作業の途中であったうえにワクチンの接種日であったのだ。診察台にて、猫はワクチンが嫌すぎるあまり「アノォ……」と、日本語で語りかけ始めた。しかし、獣医師に返事をされながらワクチンは打たれた。帰宅 ...
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晩夏の陽が障子の薄紙を通り和室に柔らく広がるなか、猫が心地の良い寝息を立てていた。気がつけばこの光景が当たり前となった事にふと嬉しさを覚え、来年も再来年も幾度となく「愛猫のいる日常」を思い返せるよう、目前のひとときをカメラの中にそっと切り取った。「何か お ...
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作業をしようとパソコンに目を向けたところ、絶妙に使い難い所に猫がいた。締切が近いのでパソコンを使わせて欲しい旨を丁重に猫に伝えた。「だめ」だそうである。猫による明確な意思表示である。猫は断じてパソコンを開けさせぬというスタイルを人間に見せつけた。私の締め ...
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猫の背中にカサブタができ、もともと舐めづらい所である事からエリザベスカラー無しで事なきを得ていた。しかし、舐めようと試みた事がやがてストレッチ効果をもたらし徐々にカサブタに届くようになった。さらに病院での処置によりカサブタを剥がした事により獣医師との相談 ...
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猫が足の傷を舐めないようエリザベスカラーを付け、1ヶ月が過ぎようとしている。猫も徐々にその扱いに慣れ、毎朝エリザベスカラーでこちらの顔面を覆うなどして起こし異議申し立てをしていたが、最近では日中も主張してくるようになった。俵状の生き物が視界に入ってくる。機 ...
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愛猫が足の傷を舐めるのでエリザベスカラーを付けているが、良くなってきてはいるもののいまだに獣医師からカラーを取る許可はおりない日々を送っている。ある日、予定より早く帰宅し部屋に戻ると、ベッドの上の猫と目が合った。「やあ、来たのかい? エリザベスカラーは は ...
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愛猫達に病院で処方された錠剤を飲ませた。顔から「お薬イヤでした」が滲み出ている。エリザベスカラーと猫の悲しみによって、猫の周りに時空の歪みも生じている。こちらのおりこう猫に至っては睨んでくる。オブラートの包みがあまく、薬が苦かったのだ。思わず申し訳ありま ...
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